今年も台風によって多くの命が失われました。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に合われた方々の一日も早い復興を願います。
自然が猛威を振るう今だからこそ、人と自然の付き合い方をちょっと考えてもらいたい。
ただ考えてと言っても、どう考えればいいのかわからないと思いますので参考となる絵本を紹介させていただきます。
絵本と言っても、中身は子供向けというよりは、大人向けなのでぜひ読んで、考えてもらいたいと思います。
「狼森と笊森、盗森」
宮沢賢治 作
片山健 絵
三起商行(ミキハウス)
岩手山が何回も噴火したのち、野原や岡ができ、4つの森ができました。
そこへ百姓たちの家族が入ってきて住む場所に選び、四人の男たちは好きな方向に向かって叫びました。
彼らはなんと叫んだのか、そして・・・
ここからが最も読んでもらいたいところですので、実際に読んでみてください。
それぞれ4つの森で話があり、その都度農民たちは森に向かって叫びます。
そしてその答えはどのように得られたか。
それに対しての農民たちの行動は。
この作品では、人間と自然の共生ということがテーマです。
人間はずっと節度を守って、あるときまで自然に耳を傾け、感謝しながら生きてきたことが描かれています。
本当の自然との付き合い方が描かれている、と言っても間違いはないと思います。
しかし、今の人間はどうでしょうか。
自然は支配するもの、征服するもの、としか思っていないのではないでしょうか。
日本の各地の地名一つとってもそうでしょう。
昔の人が、洪水が起きやすい場所、津波がきやすい場所、山崩れが起きやすい場所、水が出やすい場所など、注意するように地名を付けていたのに、どんどん住宅として開発し、市町村合併して、土地のイメージを良くするためだけに名前を変え、その結果、あちこちで被害が頻発しているのもいい例でしょう。
まさかという言葉が、自然を軽視している発言に他なりません。
自然を軽視するということは、人の命の軽視に直結するんです。
人と自然は切っても切れない関係ということを今一度見つめ直さなければ、さらなる災が降り掛かってくる、そう思えます。
この童話を読んで、自然との関わり方を今一度見つめ直してもらいたいと思います。