今、まさにドングリの季節。
いつもたくさん落ちているようにみえるドングリ(いろいろな木があるからでもある)ですけど、「なりどし」と「ふなりどし」があるって知ってましたか?
特にブナの木ではその傾向がはっきりとしているようですが、今回の絵本・児童書(童話・児童小説)は、どんぐりの「なりどし」と「ふなりどし」を教えてくれる絵本を紹介します。
「どんぐりかいぎ」
こうやすすむ 作
片山健 絵
福音館書店
北の国のどんぐりの森では、どんぐりがたくさんなる「なりどし」と少ししかならない「ふなりどし」が一年おきにあるそうです。
どうしてこんな現象があるのでしょう?
その背景には・・・
毎年、たくさんの実を落としていたどんぐりの木たち。
動物たちが土に埋めた食べ残しの実が、木になって育つのを、うれしく見守っておりました。
ところが、動物がふえすぎて、実を食べ尽くすようになってしまいました。
次の年、地面から新しい芽は出てきませんでした。
「このままでは、われわれ どんぐりのきは としとって、みんな しにたえてしまう」
「どうしたら あとつぎの こどものきを そだてることが できるだろうか」
どんぐりの木たちは集まって、会議を重ねます。
「もっとたくさんの実をつけてみたらどうだろう?」
と、頑張ってみましたが、動物たちの数がどんどん増えていくばかり。
頑張りすぎたどんぐりの木たちはすっかり疲れて、次の年には実をつけることが出来ませんでした。
どんぐりを食べていた動物たちは食べ物がなくなり大弱り。
厳しい冬に、死んでしまった動物も多くいました。
一年休んだドングリの木はすっかり元気を取り戻し、元のようにたくさんドングリを落とすことができました。
厳しい冬で数が減ってしまった動物たちも大喜びでドングリを食べ、以前のように埋めてまわります。
動物たちの数が減ったので、ドングリを食べきることができず、その次の年の春には新しい芽が出てきました。
ドングリの木もこれに喜び、また会議を開きました。
「やっと わかったぞ! わしらが まいとし まいとし どんぐりを たくさん おとしつづけていたのが まちがっていたのじゃ」
「そうだったんだ。どんぐりを たくさん おとすのは 1ねんおきで よかったんだ」
「1ねんおきなら、むりを しないで どんぐりを たくさん おとせるし……」
「どうぶつたちも 1ねんおきに はらぺこに なるから、かずが ふえすぎることは ない」
「どうぶつの かずが ふえすぎなければ、われわれの どんぐりが あまる」
「どんぐりが あまれば、じめんの したの たべのこしから めが でて、われわれの こどものきが そだってくれる!」
ということで、「なりどし」と「ふなりどし」が出来たというお話です。
どんぐりの木たちのこんな真剣な会議があったんですね。
この考え方、「木自身が種子の豊凶を定期・不定期に繰り返すことで、捕食者の個体数を調整し、自らの繁殖に寄与している」という豊凶による種子の繁殖戦略と呼ばれる生態学的な仮説に基づいているそうです。
これから言えることは、自然は己の力でバランスをとろうとしているということ。
これは里山だけの問題ではなく、都会においても同じこと。
かわいいからとノラ猫に餌を上げることで、不必要に数が増え、野鳥などに被害を与えますし、鳥にむやみに餌を与えれば、数が増えすぎて今度は害鳥と化してしまうのです。
子どもたちは餌を与えたがるので、絶対に駄目とはいいません
むやみに動物に餌を上げる行為は本当に自然保護といえるのか。
こういう問題もあるということを親がもち続け、お子さんがわかるようになったら話し合ってみてください。
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