「やまなし」
宮沢賢治 作
川上和生 絵
三起商行(ミキハウス)
「小さな谷川の底を写した二枚の青い幻灯です」という前置きから始まり、「五月」と「十二月」の場面からなる物語。
「五月」
「クラムボンはわらったよ。」
「クラムボンはかぷかぷわらったよ。」
谷川の底で、かにの兄弟がこんなふうに言葉を交わす間、
「天井」つまり水面では「つぶつぶ暗い泡」が流れたり、蟹たちの吐く泡が上っていったり、魚(うお)が行き来したりします。
すると天井に白い泡がたって、青光りする鉄砲玉のようなものが飛び込んできて、
魚が上のほうへ上ったようでした。
カワセミが魚を捕まえる瞬間をかにの目線で捉えているんです。
「十二月」はやまなしの実が水の中に落ちてくるさまを描いています。
賢治の独特なオノマトペの表現によって形容される、季節の変化と生命のいとなみを描いた童話です。
不思議な世界をたのしんで下さい。
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