2013年04月24日

うずのしゅげを知っていますか

タイトルで、みなさんに問いかけているわけではありませんよ。

これは宮沢賢治の童話「おきなぐさ」の冒頭の一節「うずのしゅげを知ってますか。」です。

冒頭部分をご紹介します。



『おきなぐさ』  宮沢賢治

うずのしゅげを知っていますか。 
うずのしゅげは、植物学では、おきなぐさと呼ばれますが、おきなぐさという名はなんだかあのやさしい若い花をあらわさないようにおもいます。
そんならうずのしゅげとはなんのことかと言われても私にはわかったようなまたわからないような気がします。


そのオキナグサですが、都内の植物園、公園などでは数カ所で育てられているのは確認しているんですけど、群生する花ではないですし、環境省レッドデータブックでは絶滅危惧U類、都道府県のレッドデータブックでは絶滅や絶滅危惧T類のところもあるほど貴重な花です。
毎年、おきなぐさを見たい、うずのしゅげを撮りたい、と思っているのですが、こればかりはタイミングが合いません。

この春、国営昭和記念公園のこもれびの丘で咲いているという情報を得ました。しかもチューリップがもう満開というので4/14(日)にでかけてみました。

55DSCG1593.JPGこもれびの丘のオキナグサが植わっている所は覚えているので一目散。
でも、惜しい!花が咲いている株がなかった!


もう少しで咲きそうなオキナグサ。
もうすぐ咲きそうなオキナグサ

そして、髭になってしまったオキナグサです。
この状態からもう少し進んで白くワタのようになった状態が老人の頭髪のようなので翁草と名付けられたそうで、うずのしゅげもうずはおじいさん・翁の方言、しゅげはひげ、つまり、おじいさんのひげということらしいので、花からついた名前ではないんですよ。
うずのしゅげ

この状態からもっと進んで綿毛になった状態を宮沢賢治は童話の中で次のように表現しています。
『春の二つのうずのしゅげはすっかりふさふさした銀毛の房にかわっていました。野原のポプラの錫いろの葉をちらちらひるがえし、ふもとの草が青い黄金(きん)のかがやきをあげますと、その二つのうずのしゅげの銀毛の房はぷるぷるふるえて今にも飛び立ちそうでした。』

そして最後。

『そしてちょうど星が砕けて散るときのように、からだがばらばらになって一本ずつの銀毛はまっしろに光り、羽虫のように北の方へ飛んで行きました。そしてひばりは鉄砲玉のように空へとびあがって鋭いみじかい歌をほんのちょっと歌ったのでした。
 私は考えます。なぜひばりはうずのしゅげの銀毛の飛んで行った北の方へ飛ばなかったか、まっすぐに空の方へ飛んだか。
 それはたしかに、二つのうずのしゅげのたましいが天の方へ行ったからです。そしてもう追いつけなくなったときひばりはあのみじかい別れの歌を贈ったのだろうと思います。そんなら天上へ行った二つの小さなたましいはどうなったか、私はそれは二つの小さな変光星になったと思います。なぜなら変光星はあるときは黒くて天文台からも見えず、あるときは蟻が言ったように赤く光って見えるからです。』

この作品は賢治が27歳の時、妹トシを亡くした後の詩作がなされていない半年、そのあとに書かれたのが、この「おきなぐさ」ということです。
それを合わせて考えるとこのオキナグサに妹トシの姿を重ねて見ているように思えませんか。
そしてトシの魂も・・・

うずのしゅげをみて、宮沢賢治の作品を振り返りながら、童話の世界を感じてみるのが私の楽しみなんですよ。

ちなみにオキナグサの呼び方をまとめられたサイトがあるのでご紹介します。
こんなに地方に寄って呼び方があるなんて驚きますよ。
オキナグサの呼び名方言集

おきなぐさ;いちょうの実 (日本の童話名作選)

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posted by ブドリ at 21:07 | Comment(2) | TrackBack(0) | .花歩記 春の花 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
オキナグサなんて、名前も知りませんでした。心にしみる話ですね。そういえば、今日雨の中、帰宅途中に濡れているタンポポの綿毛を発見。前にブドリさんの撮った濡れたタンポポの綿毛の写真を思い出しました。雨もいいものですね。
Posted by felizmundo at 2013年04月24日 22:43
felizmundoさん

おきなぐさをご存知ではありませんでしたか。
そうですよね、一般的な花ではないですからね。
私も宮沢賢治の童話を読んでいなければあちこちに写真を撮りに行っていても咲いているところかひげの状態に出会わなければ敢えて撮ろうとも思わなかったでしょうからね。
私の写真から、楽しみを広げてもらえているようで嬉しい限りです(^^)
Posted by ブドリ at 2013年04月25日 21:50
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